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和歌山県立医科大学 麻酔科学教室

後期研修医日記<Blog>

2019年

後期研修医日記その16(西畑 雅由)

2019年5月

経験年数を重ねるにつれて、こういった文章を書く機会が多く、好きな事を書いて下さいと言われると、正直、困惑してしまいます。将来どんな医師になりたいかとか、この仕事についてどう思うか、資格を取得したときの体験談などを、今まで書いてきました。元々文系科目が苦手だったので、こういう時にいい案が浮かばず、難しいところがあります。今回は、後期研修医日記ということで何を書きましょう…。

そう言えば、先日ショッピングモールで人が倒れている場面に遭遇しました。幸い、その方は大事に至らず、すぐに救急隊員により無事に搬送されました。日常の生活で、ドラマの1シーンのような出来事を経験し、医師ながらも「本当にこんなことってあるのだなあ。」と驚きました。

それはさておき、その一部始終を見ていた近所の方に、「西畑さんはお医者さんだったのですね。びっくりしましたよ。」と言われました。隠していた訳でもなく、言う機会がなかったので。さらに続けて「お医者さんということは、外科ですか?内科ですか?」と。いつも大体この質問をされます。なぜか僕は、どこか申し訳ない気持ちになりながら「麻酔科です。」と言いました。「あー、そうでしたかー。ドラマで悪い役や、手術のシーンで頭元にいる人ですよね。」と。あ、はい。そうです…。と言いました。これは、僕の主観も入っていますが、その方は少しがっかりしたような何ともいえない表情を浮かべていたように思えました。これは、よくある流れで、麻酔科に入局してから幾度か経験したやりとりです。

こんなやりとりが何度もあると言いましたが、本当の所、僕自身麻酔科という仕事に対して誇りを持っているので、毎回少しさみしい気持ちになります。“医師と言えば外科、内科。その他の科はマイナー”。そんなイメージが一般的に定着してしまっているような気もします。また、学生さんや初期研修医の先生の中にも、そういった考えが頭の片隅にあり、その為に、麻酔科に興味を持ってくれる人がそう多くはないのかなとも思ってしまいます。この何ともいえないモヤモヤを解決してくれる方法は、麻酔科にスポットライトを当てた医療ドラマが放送されることではないかとふと思いました。(僕の安易な考えですが…)最近では、産科、放科、病理医、法医などがドラマ化されているので、“そんな日が近いのでは?”と期待しています。ドラマでかっこいい俳優さんがピシッと麻酔科医を演じてくれたら、好感度が上がったり、麻酔科医が変わり者で頭元に立っている悪役というイメージが払拭されるかもしれないと思ってしまいます。そして、その影響で入局希望者が増加すると共に働く仲間が増えれば嬉しい限りです。さらに、リアルでは見られない舞台の裏側(麻酔の導入過程や硬膜外麻酔の手技など)を映像にしてくれれば、患者さんの麻酔に対する疑問や不安も少なくなるのではないのかなとも思いました。

最後に、こんな冗談めいたことを言ってしまいましたが、僕も今年入局4年目を迎えました。この4月から大学院進学で研究に勤しんだり、小児心臓外科の麻酔担当をさせてもらったり、忙しい中にも楽しい毎日を送っています。一医局員として受け身で業務をこなすだけでなく、自ら周りに何かしら影響を与えられる存在になれればなと思っています。どうぞよろしくお願いします。

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