気持ちのつらさについて

がんの闘病中には、身体症状の痛みと同じくらい精神症状(気持ちのつらさ)をやわらげるケアも必要とされています。不安や気持ちのつらさをやわらげ、ご自分らしい質の良い時間の過ごし方ができるようにサポートします。

患者さん・ご家族の方へ

がんという診断を受けたときには、誰もがショックを受け悲しみます。時間の経過とともに、自分自身で気持ちを整理できる方もおられますが、大きなストレスを前にしたとき、1人で抱えこんでしまい、悩まれる方もいます。特にがんとの闘病生活においては、うつや、意識障害(せん妄※①)が起こりやすいとも言われています。「不安だな」「誰かにつらい気持ちを聞いてほしいな」と思った時は、遠慮せずに医療スタッフに相談してください。それぞれのご本人の状態や希望に応じて、カウンセリングや、不眠や不安感を和らげるためのお薬での治療をおこないます。

ご家族の方も、患者さんと共に闘病生活を送る中で、様々なストレスを気づかないうちに抱えていることがあります。大切な方が、がんと告げられた時には、心の葛藤が起こります。経済的な問題や、家族のサポートのあり方について悩まれる方もおられます。
患者さんもご家族の方もストレスを抱えた状態というのは大変なつらい状況です。時にはリラックスをする時間も必要です。(疲れてきていると感じたときは、医療スタッフの方に援助を求めることも大切なことです。ご家族の気持ちを支えることも緩和ケアセンターの仕事ですので、お気軽にご相談ください。)

※① せん妄について
入院生活が長くなると、体や頭が疲れてくることがあります。夜になかなか寝付けなくなったり、意識がぼーっとしたり、落ち着かなくなることがあります。これはせん妄という症状で、入院患者の30%がそのような経験をすると言われています。せん妄は、からだへの負担を原因とする脳の機能の乱れであるため、からだの症状の悪化がせん妄を後押しすることもあります。治療方法は、負担となったからだの問題を取り除くことが基本となりますが、脳の機能の乱れを改善する薬や、本人が安心できる環境の調整もしていきます。