痛みについてのQ&A

  1. Q01  がんの痛みって、人によって違うの?
  2. Q02  がんの痛みをどのようにして伝えたらいいの?
  3. Q03  先生に痛みを伝えたら、薬の種類がどんどん増えていくけど大丈夫なの?
  4. Q04  薬をのむのが嫌だから、もっと痛くなるまで我慢しようと思うのですが…。
  5. Q05  痛みの治療法は、他にありませんか?
  6. Q06  痛み止めの薬はなるべく使いたくないので、痛くなってから薬をのんでもいいの?
  7. Q07  時間を守って、痛み止めのモルヒネを使うようにいわれました。8時間毎といわれても忘れそうなので食後にのんでもいいですか?そのほうが胃も荒らさなくて良いと思うのですが・・・
  8. Q08  よく効く痛み止めだから、医療用麻薬を痛みで困っている人にあげてもいいですか?
  9. Q09  医療用麻薬は使い続けると効かなくなるのではありませんか?
  10. Q10  使い続けると麻薬中毒になりませんか?
  11. Q11  使い続けると命が短くなりませんか?
  12. Q12  いったん使いだすと、やめられなくなるのではありませんか?

Q1がんの痛みって、人によって違うの?

がんの痛みって人によって違うの?
がんの痛みは人それぞれです。
全身が痛い人もいれば、何か特定の動きをしたときだけ痛い人もいます。
がんの痛みは、あなたしかわからないのです。
だから、今あなたが感じているがんの痛みを教えてください。

Q02がんの痛みをどのようにして伝えたらいいの?

まず、
  1. いつから
  2. どこが
  3. どんなふうに
  4. どんなときに
  5. どれくらい痛いのか
について教えてください。
例えば、
  1. 3週間くらい前から、
  2. 腰が、
  3. ズキズキと、
  4. 寝返りを打ったときに、
  5. 目がさめて、眠れなくなるぐらい痛いです。

Q03先生に痛みを伝えたら、薬の種類がどんどん増えていくけど大丈夫なの?

何種類かの薬を受け取ると思いますが、すべて必要な薬ですので、時間と1回の量を守って下さい。
副作用の予防のために出される薬もあれば、作用の異なる痛み止めの薬を組み合わせて使うこともあります。
もし、分からないことがあれば、どんなことでも、医師・看護師・薬剤師におたずねください。

Q04薬をのむのが嫌だから、もっと痛くなるまで我慢しようと思うのですが…。

けがや傷の痛みは、からだの危険信号としての意味があるのですが、がんによる痛みは危険信号としての意味はあまりなく、からだにとって無用で慢性の痛みがほとんどです。このような慢性の痛みを我慢していると、痛みの感じ方が敏感になり、鎮痛薬が効きにくくなることがあります。また、脈拍や呼吸が速くなる、病気に対する抵抗力が落ちるなど、からだにさまざまな影響が出ます。また、気持ちの面でも影響が出てきて、食欲が落ちたり、眠れなくなったり、気持ちがふさぎ込んできたりします。
つまり、からだとこころ両方の面で、がんの治療に影響が出てきます。ですから、痛みを我慢せず、少しでも楽になるようにしましょう。

Q05痛みの治療法は、他にありませんか?

WHOで提唱している非ステロイド性鎮痛薬と医療用麻薬の内服は、痛み治療の基本です。この痛みの治療法で、80~90%のがん患者さんが痛みから解放されるといわれています。この治療法で残る痛みに対して、けいれんの薬・気分を落ち着かせる薬・不整脈の薬などを用いることもあります。また、ペインクリニック(痛みの外来)で行われている神経ブロック療法や、放射線治療が痛みの軽減に有効な場合があります。どの方法がよいかは、痛みの種類によっても違いますので、医師にご相談ください。

Q06痛み止めの薬はなるべく使いたくないので、痛くなってから薬をのんでもいいの?

ダメです。
薬をのんでも、効き目があらわれるまでには時間がかかるので、すぐに痛みを取ることができません。薬の効き目がきれないように、決まった時間に、必要な量をのみましょう。そうしないと、痛みをうまく取ることができません。
痛くなってからのんだり、痛くないからといってのまなかったりするのはやめましょう。

Q07時間を守って、痛み止めのモルヒネを使うようにいわれました。8時間毎といわれても忘れそうなので食後にのんでもいいですか?そのほうが胃も荒らさなくて良いと思うのですが・・・

モルヒネはおなかがすいているときにのんでも、胃を悪くするようなことはありません。 また、8時間毎の薬を、毎食後にのむと、夕食後から翌日の朝食後までの間隔が長くなるため、早朝に痛みが出てきます。 のみ忘れないように、服薬確認表などで薬ののみ忘れをチェックするのも良いと思います。

痛み止めの薬の効き目がきれずにいつも効いている状態に。
そのためにも、薬をのむ時間、量を守りましょう。

上手に痛みを取り除くために、服薬確認表などをつけて痛みの程度やからだの具合なども書きとめておくのも良いでしょう。
医師、看護師、薬剤師などに痛みの様子がうまく伝わり、質問や相談したいときにも便利です。

Q08よく効く痛み止めだから、医療用麻薬を痛みで困っている人にあげてもいいですか?

他の人に薬をゆずったり、患者さん本人以外の人が服用することは絶対にやめてください。
病院で渡している薬は、その患者さんのからだや痛みにあわせて、薬の種類や量を決めています。
ご家族の腹痛や頭痛に使っても治りませんし、そのような使い方は危険です。
もし、のみ忘れなどで薬が余ったときには次回の診察の際に医師に申し出てください。

医療用麻薬を他人にゆずったり、患者さん本人以外の人が使うことは、法律でもかたく禁止されています。

Q09医療用麻薬は使い続けると効かなくなるのではありませんか?

これは誤解です。
濫用目的に使用される違法な麻薬では、さらなる快楽の効果を得ようとして量を増やしていくようです。
しかし、痛みの治療で医療用麻薬を使用する場合は、薬が効かなくなることはないと医学的に証明されています。ただし、病状の経過によって痛みが強くなった場合には、薬の量を増やすことは必要です。

Q10使い続けると麻薬中毒になりませんか?

これは誤解です。
昔のアヘンと同じと考えられがちですが、医療用麻薬を使用しても快楽を得ることはできません。麻薬中毒とは、薬がほしくてたまらなかったり、極度の不安になったりする依存症状のことです。医療用麻薬を使ってもこのような状態になることは決してありません。

Q11続けると命が短くなりませんか?

これは間違いです。
何の根拠もない話です。医療用麻薬ががんの進行を早めることはありません。ただし、患者さんの体調の変化(腎臓や肝臓の機能低下)によっては、医療用麻薬の副作用(ねむ気や呼吸が弱くなる)が出ることがあります。このような副作用が出る場合もあるので、痛みの治療中は必ず医師の定期的な診察が必要です。

Q12いったん使いだすと、やめられなくなるのではありませんか?

これは誤解です。
医療用麻薬を痛みの治療に使用している限り依存症状を引き起こすことはありません。痛みが弱くなれば、医療用麻薬の量を減らしたり、やめたりすることができます。ただし、自分の判断で薬を急に中止すると、自律神経のバランスに影響を与える(発汗や動悸などの症状がでる)ことがありますので、薬を中止する際には必ず医師または薬剤師の指示にしたがってください。