麻酔科後期研修医1年目の山﨑博貴と申します。
7月に入り、入局してから早くも4か月が経とうとしています。
振り返ってみると、慣れない町への引っ越し、初めて触れる電子カルテ、内科業務、そして麻酔科研修と、慌ただしい日々に追われる毎日でした。気づけば、あっという間の4か月間でした。ようやく環境にも慣れてきたタイミングで、このたび後期研修医日記を執筆する機会を頂きました。
この日記を読んでくださっている方の中には、麻酔科を志すことを考えている後輩や、私と同じように地域枠で将来に悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。そうした方々にとって、少しでも参考になる内容になれば幸いです。
まず初めに、簡単に自己紹介させていただきます。
私は自治医科大学を卒業後、和歌山県立医科大学で初期研修を修了し、現在は県庁の人事により紀南病院で勤務しております。ふだんは内科業務を中心に行っていますが、毎週月曜と水曜には紀南病院の麻酔科で半日ずつ研修し、さらに月に一度、第1水曜日には和医大の麻酔科でも研修を受けています。
内科か麻酔科かで悩みましたが、「義務年限の数年間だけで将来の専門科を決めたくない」と考え、麻酔科を選びました。進路を考える際には、麻酔科の先生方、とくに地域枠で麻酔科を専攻されている先生方に相談させていただきました。大変さはあると感じましたが、それ以上に、周囲の先生方や同期に支えられながら麻酔を楽しんでいる姿を見て、自分もこの道に進もうと決意しました。
4月から始まった麻酔科研修では、心臓血管外科や産科の手術を中心に担当しています。慣れない内科業務と並行して心臓麻酔の勉強を進めるのは大変でしたが、上級医の先生方のご指導のもと、特に心臓麻酔については付きっきりで教えていただくことも多く、わからないことをすぐに質問できる環境で、少しずつ成長させていただいております。
内科業務についてですが、紀南病院の内科は、和医大でいう救急タームに近い印象です。主に呼吸器内科や内分泌内科の疾患を中心に診ています。主治医制であること、また循環器系の救急対応も担う病院であるため、緊張感のある場面も少なくありません。それでも、わからないことがあれば上級医や他科の先生方にも相談しやすく、日々出会う症例を通じて少しずつ学びを深めています。
地域枠においては、「専攻する診療科に触れる時間が限られ、専門医の取得が遅れる」といった不安の声をよく耳にしてきましたが、私はそこまで強く感じていません。もちろん、全体的な経験量としては同期に遅れをとる面もあるかもしれません。しかし、異なる環境で異なる指導医から学ぶことで、同期にはない視点や知識を得ることができると考えています。そうした学びを同期と共有・議論することで、全体としての成長につながっていくと思っています。
また、土曜日に開催されている「麻酔塾」にも参加しており、知識面での遅れを補えていると実感しています。
地域枠で麻酔科を検討している後輩へのアドバイスとしては、「地域枠としての内科研修と麻酔科は相性が良い」と感じています。
麻酔科は手術室が中心の仕事ですが、さまざまな外科疾患に関わると同時に、多様な内科疾患の術中管理を行う場でもあります。したがって、地域に出て広く疾患を診なければならない立場でも、麻酔科のバックグラウンドがあると基本的な知識を持って対応でき、心強く感じることが多いです。
また、地域での内科業務を通じて、多様な疾患を長期的に診療することにより、術中合併症のある患者さんに麻酔をかける際に、「どの程度の重症度でどれほどの注意が必要か」といった肌感覚や臨床的な解像度が養われると信じて、内科にも真摯に取り組んでいます。
さらに、麻酔科は外科医と密接に連携する仕事でもあるため、術後の病棟管理の大変さを身をもって経験することで、外科チームとの連携においてもよりよい関係が築けるようになるのではと感じています。
最後になりますが、和医大で研修する際には、いつも温かく迎えてくださる先生方や同期の皆さんに、心から感謝しています。
内科業務と並行しての麻酔科研修ではありますが、一例一例を大切にしながら、実りある研修となるよう努めてまいります。